SoftComputing lab.
 
Googleでサイト内検索:

Fuzzy Theory
ファジィ理論
Neural Network
ニューラルネットワーク
Chaos
カオス
Artifical Intelligence <AI>
人工知能
Genetic Algorithm <GA>
遺伝的アルゴリズム
お勧めの本

ファジィとは

ファジィとは、人間が得意とする”あいまいさ”をコンピュータに扱わせるための手法です。考えた人はL.A.Zadeh(ザデー)さんです。従来の手法ではコンピュータ上では、現在の気温が20度であるとか、Aさんの身長が180cmである、といった明確な数値しか扱えませんでした。

これでは不便なことが多いです。例えば気温の場合では、現在の気温が30度でAさんは [暑い]と感じているとします。そこで、冷房を入れて[涼しく]するとします。従来の手法では設定温度を決めて、例えば室温を26度にすればAさんは[涼しく]感じるとします。しかし、もし室温が27度にしたらAさんは暑いと感じるのでしょうか?同様に、身長の例でもAさんの身長が180cmで背が[高い]とします。すると、身長が179cmのBさんは背が[低い]のでしょうか?

従来の手法ですとこのように、ある区切りの値を指定してそこから数値が大きければ[暑い]とか[高い]いったような表現しかできません。そこで、ファジィの登場となるわけです。

次に、ファジィが具体的にどういうものに使えてどんな長所があるのか、また何に向かないのかを考えてみます。現在では、ファジィの応用範囲は非常に広く多彩な場面で利用されています。まず初めにファジィ制御があげられます。ファジィ制御はおそらくファジィの初めての実用的な応用例でしょう。ファジィ制御はIF〜THEN〜という文章の形でいくつかのルールを用意し、そのルールに基づいて制御を行います。ファジィ制御がいわゆる制御理論と決定的に違う点は、厳密なモデル化が不要というところでしょう。IF-THENルールは「こうなったときはどうする」という形のルールの集合なので人間の作業員が機械を操作するときの知識を利用して制御を行います。つまり、中身の構造がわかっていなくても、挙動さえわかっていれば制御できるということです。したがって専門の制御技師がいなくても、現場の人間にある程度のメンテナンスができます。次に頑健性があげられます。実際のファジィ制御では200とか300とかたくさんのIF-THENルールを使って制御を行っている場合があります。その際、ルールはお互いに重なり合った条件をカバーしているのでルールの一部が破損しても(ルールを実行する回路が壊れた場合)、残ったルールがある程度カバーするので、いきなり止まってしまうことはなくある程度精度が落ちて動作を続けることができます。次に欠点について考えてみます。ファジィ制御にも当然欠点はあります。まず、膨大なIF-THENルールを処理するため、計算量が非常に多いという点があります。そのため、通常のデジタルの計算機に処理をさせるには、ある程度高速なプロセッサなどが必要になります。現在では、ファジィ演算用のチップが開発されており、これを用いると高速に処理ができるそうです。また、非常に厳密な制御を求められるものには向きません。例えばロケットの制御などはわずかな誤差も許されないので、厳密なモデル化を行って制御理論を用いた制御を行ったほうが効率がいいでしょう。

他には、データベース検索や、順位づけ法、組み合わせ最適化、などの意思決定支援、エキスパートシステム、文字認識、画像認識など様々なものが考えられます。

最後にいくつか具体例をあげます。身近なところでは、各種家電があります。しかし、これらはファジィを用いている場所が製品ごとに違い一概に比較することはできないというのが現状です。例えば、洗濯機ではセンサを使って、服の汚れ具わいを調べて洗い方を変化させるものや、服の材質を調べて傷めないようにあらったりと使い方は様々です。また、仙台市の地下鉄はファジィ制御で自動運転されており、ほとんど揺れることが無いため、つり革につかまらなくても大丈夫だそうです。世界一乗り心地のいい地下鉄という評判もあります。

1999/06
1999/07/13