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人工知能 用語集

人工知能 ( AI : Artificial Intelligence )

人工知能というのは、現在ではとても一般的な単語です。しかし、その定義は実にあいまいで、大まかに言うと「計算機上で人間の知的活動を実現することを目標とした研究分野」となります。実際「知的活動」というのはどうとでも取れる言葉で、扱いに困ります。

人工知能といえるかを判定する有名な方法として、「チューリング・テスト」と言うものがあります。これは、判定するべき機械と、それを判定する人間が別々の部屋に入り、回線を通じて交信をします。そして、人間と交信する相手を時々機械から人間に切り替えます。そして、判定をしていた人間がいつ機械と人間が入れ代わっていたのかがわからなければ、その機械は人間並の知的処理をしているというものです。

人工知能には、広い意味での人工知能と、狭い意味での人工知能があります。広い意味での人工知能は、人工的な知能ということですから、機械に知的な働きをさせるためのあらゆる手法を指します。つまり、ファジィ、ニューラルネットワーク、GA、記号論理、知識工学、その他、実に様々な分野が含まれます。

それに対し、狭い意味の人工知能は、記号論理学を中心に知識や推論を用いて様々な処理を行う手法を言います。記号処理による人工知能は、述語論理という手法に従って動作します。これは、あらゆるものを記号に置き換えて考えることによって、一般化して、計算機に処理をさせるものです。これは、証明問題などの多くの左脳的情報処理が可能です。しかし、直感など、いわゆる論理的でない右脳的情報処理はほとんどできません。ものすごく頭の堅い人を想像すると近いかもしれません。このため、人工知能は行き詰まった学問といわれることもあります。しかし、人工知能における様々な手法は、あいまい性を扱う様々な手法と合わさることで、大きく飛躍することができます。例えば、ファジィ推論なども、もともと記号論理における推論にファジィ集合の概念を取り入れたものです。

知的処理を行う上では、狭い意味での人工知能の研究で培われてきた様々な成果が土台として役に立ってきました。狭い意味での人工知能を学ぶことは、知的処理に関して学ぶ上で大きな助けとなるでしょう。

1999/09/10

探索木

何かの問題の答えを探すとき、一番簡単な方法はすべての可能性について考えてみることです。これを表現する手法として、探索木というものがあります。例えば、コインを3回投げて裏表を調べるとき、2*2*2=8通りの組み合わせが考えられます。これは以下のように表せます。

探索木 縦型探索、横型探索

このような形式を探索木といいます。探索木は、節(node)と枝(branch)で構成されます。

探索木を調べるには様々な方法がありますが、もっとも単純なものに横型探索と縦型探索があります。横型探索は現在の階層で考えられる全ての解を調べて、答えが無ければ次の階層を再び全て調べるというものです。それに対して、縦型探索は一つの枝を一番下まで調べてみて、答えが無ければ次の枝を一番下まで調べてみるというものです。

1999/09/10

組み合わせ的爆発 ( Combinatorial explosion )

人工知能の分野では、常にこの問題に悩まされつづけて来ました。また、これからもこの問題は大きな壁となるでしょう。組み合わせ的爆発というのは、探索木を見ればすぐにわかるかと思いますが、ある程度の階層の探索木になると最下層の節の数が大変な量になってしまうことを言います。

チェスや、将棋などのプログラムがなかなか人間の名人に勝てないのは、この組み合わせ的爆発の問題が大きいといえます。このようなゲームの場合、単純に全探索を行うと数手先を考えるだけで、天文学的数字になってしまい、とても現実的な時間内に計算できません。

1999/09/10

ヒューリスティック ( heuristic )

経験的知識のことです。一般に高度な人工知能は、これを用いなければ実現できないといわれています。例えば、将棋や囲碁などのゲームにおける定石というものはこのヒューリスティックになります。

1999/09/28

サブサンプションアーキテクチャ ( subsumption architecture )

SAとも書かれます。一種の並列処理で、検知(sensing)と行動(action)という単純な組み合わせで成り立つ、エージェント(agent)と呼ばれるものをたくさん用意し、このエージェント群を並列に動作させます。さらに、エージェントには優先順位が用意されていて、検知の結果、行動を生成したエージェントのうち、優先順位の最も高いものが実行されます。また、優先順位の低かったエージェントの行動はより優先順位の高いエージェントの行動が終わった後に実行されます。

一つの行動が実行されている最中でも、優先順位の高いエージェントの行動が生成されれば、実行中の行動は一時中断され、優先順位の高い行動が先に実行されます。

一つ例をあげます。定められた経路に従って進むロボットについて考えます。このロボットには様々なエージェントが用意されていますがここでは簡単に、経路に沿って進むエージェントと、障害物をよけるエージェントについてだけ考えます。

はじめ、このエージェントは経路に沿って進むという行動だけが生成されているため、単純に前に進みます。ここで、ふいに経路上に障害物が現れると、障害物をよけるというエージェントが行動を生成します。障害物をよけるエージェントのほうが優先順位が高いため、経路に沿って進むという命令は一時中断され、障害物をよける行動が実行されます。そして、経路に障害物が無くなれば、再び経路に戻って進むというわけです。実際には、経路に戻るエージェントやその他様々なエージェントが用意されます。

サブサンプションアーキテクチャの最大の利点は、すべてのエージェントが同時に実行されていて、実際の動作には、優先順位に基づいて行われるため、状況を見定めて全体を制御するための複雑なプログラムを用意しなくてすむことです。一つの制御プログラムに複雑な状況判断をさせようとすると、状況ごとに実に様々な選択を迫られ、いわゆる組み合わせ的爆発が起こってしまい、ロボットが実際に行動をするためには膨大な処理を行わなければならなくなってしまいます。サブサンプションアーキテクチャなら複雑な制御プログラムは必要なく、単純なエージェントを複数用意してやればあとは優先順位に従って勝手に行動してくれるというわけです。

サブサンプションアーキテクチャは中枢となる物を持たないため、行動型AIとも呼ばれます。

1999/09/28